コラム

Strengthening Conditioning & Nutrition column

私たちの健康づくりに欠かすことのできない運動や栄養について、身近なトピックをテーマに、各分野の専門家から寄稿いただきみなさまにお届けします。


執筆者:玉利紗綾香(たまりさやか) 

料理家・スポーツ栄養学講師 

食品会社に入社し、プライベートブランド商品開発に携わる。

料理家のアシスタントを経たのち、独立。スポーツ栄養学講師のほか、 栄養士の免許を活かし、レシピ提案、フードスタイリスト、JAやまがたアンバサダーなど多様な分野で活動中。

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「免疫をあげる」腸内環境と食事

今回のテーマ「免疫」。

 

免疫とは、外部から侵入してきた細菌や異物に抵抗してカラダを守ってくれるものです。

免疫力が低下すると、風邪を引きやすくなったり、生活習慣病にかかりやすくなったりします。

病気にかかりにくいカラダにするためには、「免疫」が大切で、この「免疫」に食事が深く関わっているのです。

 

ひとつの食品を大量に摂っても、免疫力は高まることはありません。大切なのは、食事の基本である「栄養バランス」です。

免疫力を高めるには、主食、主菜、副菜を揃え、食事全体のバランスを整えることがポイント。

栄養バランスの整った食事を摂ることで、腸内環境もよくなります。

 

しかし、主食、主菜、副菜を揃える食事はハードルが高いですよね。

おすすめは、五大栄養素を意識したお鍋。手軽な食事から栄養バランスを意識していきましょう。

さらに大切になるのが、カラダを温め血流をよくすること。免疫細胞の働きが活発になることで、免疫力アップに繋がります。

カラダを温める食材を使ったり、あわせて運動することも効果的ですよ。

 

【免疫力アップの食べ方ルール】

①たんぱく質を意識する

免疫細胞になるたんぱく質。たんぱく質は、肉、魚、魚介、卵、大豆製品から摂れます。

たんぱく質には動物性たんぱく質、植物性たんぱく質があるので、意識的に両方を摂るようにしましょう。

 

②植物性食品を意識する

βカロテン、ビタミンC・Eなどには免疫力を高める力を持っています。特に、果物に含まれるビタミンCは免疫細胞を活性化してくれますので、積極的に摂りましょう。

 

③ミネラルを意識

乳製品、野菜、魚介類、穀類など食品に広く含まれるカルシウム、亜鉛、セレンなどは免疫細胞を増やし活性化してくれます。

 

④腸内環境を整える

整腸作用のある食品を摂ることで、腸内細菌のバランスを整えることができ、免疫細胞が働きやすい環境になります。腸内環境を整えるために、ヨーグルト、味噌などの発酵食品、食物繊維を意識して摂りましょう。食物繊維は腸内細菌のエサとなります。

 

⑤食事をよく噛んで食べる

噛むことによって、栄養素の消化・吸収を助けます。咀嚼回数が増えると、食べ過ぎ防止にも繋がります。また、楽しみながら食事をすると、リラックス効果で免疫細胞が活性化します。

 

【免疫力を高める食品】

▼しょうが(成分:ジンゲロール)

血行促進を促し、カラダを温めてくれる。

▼ヨーグルト(成分:乳酸菌)

腸内環境を整える。手軽に始めやすい。まれに何も効果が出ないときがありますが、その時は自分に合うヨーグルトが見つかるまでいろいろな種類を試してみてください。

▼しらす干し(成分:核酸)

細胞の新陳代謝を促す。

▼長芋(成分:ムチン)

たんぱく質分解酵素を含む。

▼海藻類(成分:食物繊維)

腸内環境を整える。

【レシピ紹介】

今回、ご紹介するレシピは、運動後の「免疫力を意識した」主菜です。

免疫力を高める長芋を使うことで、水溶き片栗粉を使わずとろみがつき、カロリーも抑えられます。また長芋は食物繊維を多く含んだ食材です。

たんぱく質源は、糖質の代謝を助けるビタミンB1を含む豚肉を使用しているので、運動後、効率よく糖質を体内に取り込むことができますよ。

★長芋麻婆

材料(2人分)

豚ひき肉 200g

長芋 300g

青ネギ 3本

ごま油 大さじ1

Aしょうがチューブ 小さじ1/2

Aにんにくチューブ 小さじ1/2

A豆板醤 小さじ1

B水 100ml

B鶏がらスープの素(顆粒) 小さじ1

Bオイスターソース 小さじ1/2

Bしょうゆ 小さじ1/2

塩・こしょう 各少々

糸唐辛子 適量

①豚肉は塩・こしょうをふる。長芋は1㎝幅の半月切りにする。青ネギは斜め切りにする。

②フライパンにごま油をなじませ【A】を弱火で熱し、香りが出たら豚ひき肉を炒める。

③ひき肉に火が通ったら、長芋を加えてさっと炒め【B】を入れ、中火で水分を飛ばしながら炒める。

④青ネギを加えさっと混ぜ、器に盛り糸唐辛子をのせる。

女性更年期と食事

今回のテーマ「女性更年期」と食事。
「更年期」という言葉はよく耳にしますが、しっかり説明できる方は女性でも少ないのではないでしょうか。

女性として避けられないものなので、知識を持ち、事前に準備をすることで対策を練ることもできます。また、男性がサポートできることもあると思いますので、女性だけの問題とは捉えず、最近では、男性の更年期もあると言われておりますので、最後まで読んでいただければと思います。(男性の更年期とは、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされる症状のことです。)

 

今回は女性の更年期にスポットを当てます。女性には4つのライフサイクルがあります。

月経を迎える思春期、月経のある性成熟期、月経を終える更年期、月経を終えた老年期を経験します。

個人差はありますが、50歳前後で閉経を迎える方が多く、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年間を「更年期」といいます。

 

年齢を重ねるごとに卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少することで、ホルモンのバランスが崩れ、個人差はありますが、心身にさまざまな不調があらわれる人もいます。

更年期では、以下のような症状が出やすくなります。

ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗、むくみ、寝汗、動悸、めまい、頭痛、不眠、不安感、気分の落ち込み、イライラ、うつ

 

からだの変化と大きく関わっているのが、女性ホルモン(エストロゲン)です。

エストロゲンが減少することで、ホルモンバランスが崩れ、不調が出やすくなります。

エストロゲンは生殖機能に関わっているだけではなく、女性の身体の様々な臓器に働きかける役割をしてくれます。

 

今回は、女性ホルモンのエストロゲンに注目したいと思います。

更年期の食事では、ホルモンバランスをととのえるための食事を心がけましょう。

まずはご自身の食事を見直していきましょう。

 

ホルモンバランスを整える、おすすめの食材と栄養素をご紹介します。

★大豆イソフラボン:女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをします。

・豆腐 ・豆乳 ・おから ・きな粉 ・納豆 ・大豆 ・厚あげ

 

★ビタミンE:ホルモンバランスの調整します。

 

・アーモンド ・かぼちゃ ・アボカド ・たらこ

【レシピ紹介】

今回、ご紹介するレシピは、さきほど述べたおすすめ食材を使ったグラタンのご紹介です。

食物繊維が含まれるきのこや、お腹の調子を整えてくれる乳酸菌が含まれる味噌を使った和風グラタンです。

豆乳を牛乳にかえるとカルシウム補給も期待できますよ。

★きのことかぼちゃの豆乳味噌グラタン

材料(2人分)

鶏肉 100g

しめじ 50g

かぼちゃ 100g

バター 30g

小麦粉 大さじ2

味噌 大さじ1

塩 小さじ1/3

豆乳 300ml

チーズ 20g

塩・こしょう 各少々 

 

①鶏肉は一口大に切り、塩・こしょうを振る。しめじは石突きをとり、ほぐす。かぼちゃは薄くスライスする。

②フライパンにバターを溶かし、鶏肉、かぼちゃに焼き色がつくまで焼く。火をとめて、小麦粉を入れる。粉がなじんだら、弱火にして、しめじ、豆乳、味噌、塩をいれ、とろみがつくまで煮込む。

③耐熱皿に②をいれて、チーズをかけ、トースター(200w)でチーズに焼き色がつくまで加熱する。

「男性更年期」と食事

前回は、女性の更年期についてお話させていただきました。

男性の更年期とは、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされる症状のことです。

テストステロンには、骨や筋肉を増強したり、性機能を正常に保ったり、精神を安定させるなどの働きがあります。女性の更年期は閉経の前後5年のことを指しますが、男性に関しては特に決まっておらず、加齢とともに男性ホルモンが減少することで症状が現れます。ただしホルモンが低下する期間や程度、その時期に個人差があります。年齢を重ねるごとに男性ホルモン(テストステロン)が減少することでホルモンのバランスが崩れ、個人差はありますが、心身にさまざまな不調があらわれる人もいます。男性ホルモンが減少する原因として、加齢の他に、ストレス、運動不足、睡眠不足、喫煙、飲酒、食生活があげられます。

男性の更年期の症状では、以下のような症状が出やすくなります。性機能関連症状、不安、疲労感、集中力の低下、睡眠障害、ほてり、発汗、イライラ等です。

男性更年期の治療法として、生活環境や習慣の改善が重要と言われています。たとえば、睡眠時間をきちんと確保できていますか。また男性ホルモンは副交感神経が優位な睡眠時に分泌量が増えるため、睡眠が大切になります。また運動を取り入れたり、食事の面でもテストステロンを産生する食材を料理に積極的に使いましょう。

ホルモンバランスを整える、おすすめの食材と栄養素をご紹介します。

★含硫アミノ酸    ニンニク・玉ねぎ・ねぎ

★亜鉛    牡蛎・うなぎ・レバー・わかめ

★たんぱく質 魚・肉・大豆・牛乳

★ビタミンE    アボカド・ナッツ類

★ねばねば食材    納豆・おくら・山芋

ニンニクや玉ねぎに含まれる含硫アミノ酸がテストステロンの産生を上げるはたらきがあります。また、たんぱく質はニンニクと摂ることで効果に期待できます。たんぱく質は、男性ホルモンを強化してくれる栄養素です。

レシピ紹介

今回、ご紹介するレシピは、さきほど述べたテストステロンを産生するおすすめ食材を使った丼のご紹介です。良質なたんぱく質を含んだ鰹を使いました。また、たんぱく質と一緒に摂るとよいとおすすめした食材を使用しています。お料理が得意でない方も、簡単な工程なのでぜひお試しください。

 

★カツオのたたき丼 材料(1人分)

カツオのたたき 150g

玉ねぎ 1/4個

アボカド 1/2個

青ねぎ 2本

ご飯 1膳分

卵黄 1個分

【A】ごま油 小さじ1

【A】カツオのたたきのタレ 大さじ1

【A】わさび 少々

【A】マヨネーズ 大さじ1

 

①カツオのたたきはスライスする。玉ねぎは薄く切り、水にさらす。アボカドは食べやすい大きさに切る。青ねぎは小口切りにする。

②ボウルに【A】を混ぜ、カツオ、玉ねぎ、アボカドを入れて混ぜる。

③器にご飯を盛り、②をのせ、卵黄、青ねぎをのせる。